目次
統計学やデータ分析を学ぶときに、よくこんな疑問が生まれます。
「実務では、どんな“データ”を分析しているの?」
「どんなデータを題材にすれば、統計が“使える”ようになるの?」
書籍や講座では数式の扱いに焦点が当たりがちですが、実務の現場ではまず「どんなデータを分析するか」が出発点になります。
今回は、統計やデータ分析を実務で活かすときに登場する“リアルなデータ”を整理してみました。業種別・職種別・テーマ別にまとめているので、自分の関心分野を見つけてみてください。
01. 職種別にみる実務データの世界
どんな会社でも共通して存在するのが「職種ごとのデータ」です。それぞれの現場における分析テーマをまとめてみましょう。
職種 | 代表的なデータ例 | 分析テーマ例 |
---|---|---|
営業・マーケティング | 売上、成約率、キャンペーン効果 | 売上予測/相関分析/ABテスト |
人事・労務 | 離職率、採用率、評価スコア | 離職要因/満足度分析/ロジスティック回帰 |
財務・経理 | コスト構成、利益率、部門別収支 | コスト構造の見える化/収益モデル分析 |
商品企画・開発 | 製品試験、アンケート、実験データ | 分散分析/品質評価/ABテスト |
カスタマーサポート | 問い合わせ件数、解決率 | 時間帯別傾向/満足度の可視化 |
経営企画 | KPI、事業別パフォーマンス | 目標達成率の推移/KPI相関 |
IT・開発 | バグ数、工数、開発速度 | 品質指標の時系列分析 |
購買・調達 | 発注単価、納期、在庫量 | コスト削減要因分析/納期予測 |
広報・PR | SNS反応数、PV数 | 投稿効果/エンゲージメント分析 |
表に整理すると、「会社全体のデータ地図」が見えてきます。統計学の理論を学ぶ前に、まずはこうした具体的なデータに触れることも大切です。
02. 業種別にみる“リアルなデータ”
業界によって扱うデータの特徴はまったく違います。現場の課題やKPIが変わると、使う統計手法も変わってきます。
業種 | 主なデータ例 | 分析テーマ例 |
---|---|---|
小売・EC | POSデータ、購買履歴 | 売れ筋商品/リピート率/セグメント分析 |
製造業 | 品質検査、歩留まり | QC7つ道具/工程分析/異常検知 |
不動産業 | 立地・築年数・価格 | 回帰分析による価格予測 |
飲食業 | 来店数、客単価 | 曜日別傾向/新メニュー効果 |
金融業 | 与信スコア、リスクデータ | ロジスティック分析/スコアリングモデル |
医療・ヘルスケア | 検査値、患者データ | 相関分析/予後予測 |
教育業 | 成績、受講履歴、アンケート | 学習効果の統計分析 |
物流・運輸 | 配送時間、燃費、遅延率 | 時系列分析/最適ルート傾向 |
観光・ホテル業 | 宿泊率、レビュー、季節性 | シーズナリティ分析/価格モデル |
広告・メディア | クリック数、視聴率 | 広告効果/因果推定 |
「どんなデータを扱うか」が、分析テーマそのものを決めます。同じ“統計手法”でも、使う現場が変われば問いの立て方も変わるのです。
03. 業界を超えて使える「横断的データ」
統計学の学習題材として特におすすめなのが、どの業界にも共通する汎用データです。基礎を学びながら応用範囲も広げやすいのが魅力です。
データの種類 | 主な内容 | 応用できる分野 |
---|---|---|
顧客データ | 属性・購買履歴・満足度 | マーケ・営業・EC |
時系列データ | 売上・アクセス・来店数 | 飲食・小売・観光 |
アンケートデータ | 意識・評価・満足度 | 教育・人事・マーケ |
生産データ | 品質・不良率・工程時間 | 製造・食品・医療 |
地域データ | 人口・地価・所得 | 不動産・政策・マーケ |
Webアクセスデータ | PV・離脱率・セッション数 | Webマーケ・広報 |
SNSデータ | いいね数・投稿内容 | 広報・採用・ブランディング |
プロジェクト管理データ | 工数・進捗率 | 開発・コンサル |
気象データ | 気温・降水量 | 農業・物流・製造 |
社会経済データ | GDP・雇用・物価 | 経営企画・政策分析 |
グラフで可視化してみると、どの分野にも共通する「数字で世界を見る力」が育ちます。
04. 鉄板テーマ:学びにも実務にも効く題材
データ分析の教材として、特に人気が高いのは以下のような題材です。
テーマ | 理由 |
---|---|
売上・利益データ | 分布・相関・時系列すべて扱える万能テーマ |
顧客データ(RFM分析) | 業種を問わず応用可能。視覚化しやすい |
アンケートデータ | Excelだけで扱える。統計の導入にも最適 |
時系列データ | 季節変動・トレンドが直感的に理解できる |
価格・成果の回帰分析 | 不動産・営業・広告など実務直結 |
ABテスト | 「理論より実践」の象徴テーマ |
これらは法人研修向け教材としてもニーズが強い題材です。「職種や業界を問わず、誰もが“自分ごと”として理解できる」点が共通しています。
まとめ:データの世界は思ったより“広くて面白い”
データ分析は、「数式を学ぶ」ことだけではなく、「データを通して現実を読み解く」が大切です。その第一歩は、「どんなデータを扱うのか?」という前提をしっかりと確認することです。今回ご紹介したようなデータ一覧を眺めるだけでも、「あ、これなら自分の仕事にも関係ある」と感じられるはずです。