
目次
1. 回帰分析とは?
データ分析を学ぶと「回帰分析」という言葉をよく耳にしますよね。回帰分析とは、ある変数(目的変数)と他の変数(説明変数)の関係を数式で表し、未来の予測や影響の度合いを測る手法です。
たとえば、「広告費を増やせば売上はどれくらい増えるのか?」や「気温が上がるとアイスの売れ行きはどう変わるのか?」といった関係を数式で明らかにできます。
難しそうに聞こえるかもしれませんが、具体的な例を使いながらわかりやすく解説していきます。
2. 回帰分析の基本的な考え方
回帰分析では、次の2つの変数を考えます。
- 目的変数(Y):予測したい数値(例:売上)
- 説明変数(X):目的変数に影響を与えると考えられる変数(例:広告費)
回帰分析の目的は、説明変数(X)をもとに目的変数(Y)を予測することです。
最も基本的な回帰分析の方法は「単回帰分析」です。これは1つの説明変数と1つの目的変数の関係を調べる手法で、次のような数式で表されます。
Y = aX + b
ここで、
- a は回帰係数(Xが1増えたときにYがどれだけ増えるかを示す)
- b は切片(Xが0のときのYの値)
この数式を使うことで、X(広告費など)が変化したときに、Y(売上など)がどう変わるのかを予測できます。
3. 具体例:広告費と売上の関係
では、具体的なデータを使って回帰分析を考えてみましょう。
ある会社が、広告費と売上の関係を調べました。その結果、広告費が10万円のとき売上は50万円、広告費が20万円のとき売上は65万円、、、といったように広告費と売上の組合せに関する一定のデータを得たとしましょう。
そして、このデータをもとに単回帰分析を行うと、次のような式が導き出されるとします。
売上 = 2 × 広告費 + 30
この式の意味を考えてみましょう。
- 「広告費が1万円増えると、売上が2万円増える」
- 「広告を一切出さなくても、売上は30万円ある(切片)」
このように、回帰分析を使うと、データのパターンを数式で表し、将来の売上予測や広告の効果を数値で判断できるようになります。
4. 重回帰分析とは?
単回帰分析では説明変数が1つでしたが、実際のビジネスでは複数の要因が売上に影響を与えることがほとんどです。
そこで使われるのが「重回帰分析」です。重回帰分析では、複数の説明変数を使って目的変数を予測します。
例えば、売上に影響を与える要素として、
- 広告費
- 店舗の立地
- スタッフの接客スキル
などが考えられる場合、それらをすべて考慮した回帰分析を行うことができます。
重回帰分析の数式は次のようになります。
Y=(a1×X1)+(a2×X2)+(a3×X3)+b
ここで、X1,X2,X3 はそれぞれ異なる説明変数(例:広告費、立地、接客スキル)、a1,a2,a3 はそれぞれの影響度を示します。
これにより、「広告費を増やすべきか?」「立地の影響はどれくらいあるのか?」といった具体的な意思決定がしやすくなります。
5. 回帰分析を使う際の注意点
回帰分析は便利な手法ですが、次の点に注意が必要です。
① 相関関係と因果関係は違う
例えば、「アイスクリームの売上」と「熱中症の発生件数」に相関があったとしても、「アイスが売れるから熱中症が増える」わけではありません。両者は「気温」という共通の要因に影響されている可能性があります。
② 外れ値(異常値)の影響
一部の極端なデータ(外れ値)があると、回帰分析の結果が大きく変わることがあります。そのため、データを可視化して外れ値の影響をチェックすることが重要です。
③ 説明変数が多すぎると解釈が難しくなる
重回帰分析では、多くの説明変数を入れすぎると、モデルが複雑になりすぎて解釈が難しくなることがあります。必要な変数だけを選択する工夫が必要です。
6. まとめ
回帰分析とは、データの関係性を数式で表し、未来の予測や影響の度合いを明らかにする手法です。
- 単回帰分析:1つの説明変数を用いた基本的な手法
- 重回帰分析:複数の説明変数を用いて、より精度の高い分析が可能
- 回帰分析を使う際の注意点:相関と因果の違い、外れ値の影響、説明変数の選択
ビジネスや研究など、さまざまな場面で活用できる回帰分析。データを適切に活用して、より良い意思決定につなげていきましょう!