スマホで統計学

07

回帰直線

相関係数は、2つの変数を対等に扱って関係の強さを表しました。
回帰直線では一歩進んで、xを使ってyを説明する「向き」のある関係を考えます。
このページのゴール

回帰直線・残差・最小二乗法の意味を理解し、回帰係数と定数項がどのように決まるか説明できるようになる

STEP 01

相関と回帰の違いを知る

回帰直線も相関係数と同じように、 2つの量的変数の関係を表します。

ただし、2つの変数の扱い方には大きな違いがあります。

相関係数
\(x \leftrightarrow y\)
xとyを
対等に扱う
回帰直線
\(x \rightarrow y\)
xを使って
yを説明する

回帰では、説明する側の \(x\) を説明変数、 説明される側の \(y\) を被説明変数と呼びます。

このレクチャーでは、 部屋の広さ \(x\) から家賃 \(y\) を説明する という具体例を使って考えていきます。

ここがポイント
相関は \(x \leftrightarrow y\)
回帰は \(x \rightarrow y\)
STEP 02

具体的なデータから回帰直線を見る

ここでは、ある地域の賃貸住宅について、 部屋の広さと家賃の関係を考えます。

部屋の広さ \(x\) 家賃 \(y\)
15㎡ 6万円
18㎡ 9万円
21㎡ 7万円
24㎡ 10万円
家賃 \(y\)
部屋の広さ \(x\)
回帰直線

回帰直線は、4つのデータ点によく当てはまるように引かれた直線です。

この直線を使えば、 「部屋の広さがこれくらいなら、家賃はこれくらいだろう」 と、\(x\) の値から \(y\) の値を推定できるようになります。

STEP 03

回帰直線の式を読む

回帰直線は「直線」なので、 次の式で表します。

\[ \hat{y}_i = \hat{\alpha} + \hat{\beta}x_i \]
\(x_i\) を入力すると、 そのxに対応するyの推定値 \(\hat{y}_i\) が得られます。
\(x_i\)
説明変数
\(\hat{y}_i\)
yの推定値
\(\hat{\alpha}\)
定数項・切片
\(\hat{\beta}\)
回帰係数・傾き

記号の上にある「^」のような印を ハットと呼びます。

ハットは、 その値がデータから推定された値であることを表します。

\[ x_i=0 \] \[ \Longrightarrow \hat{y}_i=\hat{\alpha} \]
\(x=0\) のときのyの値なので、 \(\hat{\alpha}\) は回帰直線の切片です。
ここがポイント
\(\hat{\alpha}\) は切片、 \(\hat{\beta}\) は傾き
STEP 04

残差を理解する

問題は、 \(\hat{\alpha}\) と \(\hat{\beta}\) を どのように決めるかです。

そこで重要になるのが残差です。

\[ e_i = y_i-\hat{y}_i \]
実際のyと、回帰直線によるyの推定値との差が残差です。
\(\hat{y}_i\)
\(y_i\)
残差 \(e_i\)
データ点と回帰直線との縦方向のズレが残差です。

\(\hat{y}_i=\hat{\alpha}+\hat{\beta}x_i\) なので、

\[ e_i = y_i- \left( \hat{\alpha}+\hat{\beta}x_i \right) \]
ここがポイント
残差 = 実際のy − 回帰直線によるyの推定値
STEP 05

最小二乗法で直線を決める

1つの点だけでなく、 すべてのデータ点について残差があります。

そこで、残差を二乗してすべて足し合わせます。

\[ S(\hat{\alpha},\hat{\beta}) = \sum_{i=1}^{n}e_i^2 = \sum_{i=1}^{n} (y_i-\hat{y}_i)^2 \]
これを残差平方和と呼びます。
① 残差を求める
\(e_i\)
② 二乗する
\(e_i^2\)
③ すべて足す
\[ \sum_{i=1}^{n}e_i^2 \]
残差平方和が最小になる直線を選ぶ

このように、 残差平方和が最も小さくなるように \(\hat{\alpha}\) と \(\hat{\beta}\) を決める方法を 最小二乗法と呼びます。

ここではまず、 「データ点と直線のズレを二乗し、 その合計が最も小さくなる直線を選ぶ」 と理解しておきましょう。

ここがポイント
最小二乗法 = 残差平方和が最も小さい直線を選ぶ方法
STEP 06

回帰係数 \( \hat{\beta} \) を理解する

最小二乗法によって求められる回帰係数は、 次の式になります。

\[ \hat{\beta} = \frac{s_{xy}}{s_{xx}} \]
分子はxとyの共分散、 分母はxの分散です。

また、相関係数を使うと、 次の形でも表せます。

\[ \hat{\beta} = r_{xy} \frac{s_y}{s_x} \]
関係
\(r_{xy}\)
xとyの
相関
×
変換
\(\frac{s_y}{s_x}\)
xのばらつきを
yのばらつきへ
=
傾き
\(\hat{\beta}\)
回帰係数

\(r_{xy}\) は、 xとyのばらつき方の関係を表します。

ただし回帰では、 xからyへ変換する必要があります。

そこで、 \[ \frac{s_y}{s_x} \] によって、 xのばらつきの大きさをyのばらつきの大きさへ変換します。

ここがポイント
回帰係数 \(\hat{\beta}\) は回帰直線の傾き
xが1増えたとき、yがどれくらい変化するかを表す
STEP 07

定数項と実際の回帰式を読む

回帰係数 \(\hat{\beta}\) が決まると、 定数項 \(\hat{\alpha}\) は次の式で求められます。

\[ \hat{\alpha} = \bar{y} – \hat{\beta}\bar{x} \]

今回の4部屋のデータでは、

部屋の広さの平均
\[ \bar{x}=19.5 \]
家賃の平均
\[ \bar{y}=8 \]

最小二乗法によって、 回帰係数は

\[ \hat{\beta} = \frac{1}{3} \]

と求められます。

したがって定数項は、

\[ \hat{\alpha} = 8 – \frac13\times19.5 = 1.5 \]

よって、今回の回帰直線は、

\[ \boxed{ \hat{y} = 1.5 + \frac13x } \]
回帰係数の意味
部屋の広さが1㎡増える

家賃は \(\frac13\)万円 増える

3,333円増える

このように、 回帰係数は単なる式の係数ではなく、 説明変数が1増えたとき、 被説明変数がどれくらい変化するかを表します。

ここがポイント
\(\hat{y}=1.5+\frac13x\)
部屋が1㎡広くなると、家賃は約3,333円高くなる
STEP 08

回帰直線は重心を通る

最後に、最小二乗法で求めた回帰直線の 重要な性質を確認します。

定数項の式

\[ \hat{\alpha} = \bar{y} – \hat{\beta}\bar{x} \]

を回帰直線 \(\hat{y}=\hat{\alpha}+\hat{\beta}x\) に代入すると、

\[ \hat{y} = \bar{y} + \hat{\beta}(x-\bar{x}) \]

ここで \(x=\bar{x}\) とすると、

\[ x=\bar{x} \] \[ \Longrightarrow \hat{y} = \bar{y} \]

つまり、回帰直線は必ず \((\bar{x},\bar{y})\) を通ります。

\((\bar{x},\bar{y})\)
\(\bar{x}=19.5\)
\(\bar{y}=8\)
今回の回帰直線は、 \((19.5,8)\) を必ず通ります。

前に平均を 「データの重心」 と考えました。

そのため、 \((\bar{x},\bar{y})\) は xとyのデータの重心と考えることができます。

最小二乗法で求めた回帰直線の性質
回帰直線は
xとyの「重心」を通る
ここがポイント
最小二乗法で求めた回帰直線は、 必ず平均点 \((\bar{x},\bar{y})\) を通る
SUMMARY

回帰直線を整理する

回帰
\(x\) を使って \(y\) を説明する
残差
\(e_i=y_i-\hat{y}_i\)
最小二乗法
残差平方和を最小にする
回帰係数
\(\hat{\beta}\) = 回帰直線の傾き
定数項
\(\hat{\alpha}\) = 回帰直線の切片
最後に
残差を考える

残差平方和を最小にする

回帰直線が決まる

その直線は平均点 \((\bar{x},\bar{y})\) を通る
NEXT STEP

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