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離散型確率分布①

ここからは、代表的な離散型確率分布を具体的に見ていきます。前半では「1回の成功・失敗」を表すベルヌーイ分布と、それを複数回繰り返したときの成功回数を表す二項分布を扱います。どんな確率変数がその分布にしたがうのかを中心に、確率関数・パラメータ・期待値・分散まで整理します。
このページのゴール

ベルヌーイ分布と二項分布について、「どんな確率変数がしたがうのか」を理解し、それぞれの確率関数・パラメータ・期待値・分散を説明できるようになる

STEP 01

確率分布の見方を整理する

ここからは、 代表的な離散型確率分布を 具体的に見ていきます。

確率分布を学ぶときに、 最初に確認したいのは 「どんな確率変数 \(X\) がその分布にしたがうのか」 です。

確率分布を見る4つのポイント
① 確率変数 \(X\)
何を結果として見るのか
② 確率関数 \(f(x)\)
それぞれの値の確率をどう計算するのか
③ 期待値 \(E[X]\)
分布の中心はどこか
④ 分散 \(V[X]\)
どれくらいばらつくのか

ここで、 大文字の \(X\) と小文字の \(x\) の違いも 確認しておきましょう。

大文字 \(X\)
確率変数そのもの
どの値になるかが確率的に決まる変数
小文字 \(x\)
\(X\) がとりうる具体的な値
たとえば \(x=0,1,2,\ldots\)

今回扱うのは離散型なので、 確率関数は

\[ f(x)=P(X=x) \]
確率変数 \(X\) が具体的な値 \(x\) をとる確率を表します。

この見方を使って、 ベルヌーイ分布と二項分布を整理していきます。

ここがポイント
確率分布では、 まず「どんな確率変数 \(X\) がしたがうのか」を確認する
STEP 02

ベルヌーイ分布とは何か

最初に見るのが、 ベルヌーイ分布です。

ベルヌーイ試行とは、 結果が 成功か失敗かの2通り となる試行です。

そして、この成功・失敗という2つの結果を 確率変数として扱うために、 成功を1、失敗を0 と数値で表します。

成功する確率を \(p\) とすると、 失敗する確率は \(1-p\) です。

1回のベルヌーイ試行
成功
\(X=1\)
確率 \(p\)
失敗
\(X=0\)
確率 \(1-p\)

たとえば、 コイン投げで表を成功、裏を失敗と考えれば、 1回のコイン投げはベルヌーイ試行です。

サイコロでも、 「1の目が出る」を成功、 「それ以外」を失敗とすれば、 結果を成功・失敗の2つに分けられます。

ベルヌーイ分布にしたがうもの
1回だけ試行する
↓
成功なら \(X=1\)
失敗なら \(X=0\)
↓
\(X\) はベルヌーイ分布にしたがう

つまり、 ベルヌーイ分布は 1回の試行で得られる0か1の結果 を表す、最も基本的な離散型確率分布です。

ここがポイント
ベルヌーイ分布 = 1回の「成功・失敗」を1と0で表す分布
STEP 03

ベルヌーイ分布を式で整理する

成功確率を \(p\) とすると、 ベルヌーイ分布では

\(P(X=1)=p\)
\(P(X=0)=1-p\)

たとえば、 \(p=0.2\) なら次のような分布になります。

ベルヌーイ分布 \(p=0.2\)
0.8
0
0.2
1

この分布の形を決めているのは、 成功確率 \(p\) です。

このように、 確率分布の形を決める値を パラメータといいます。

ベルヌーイ分布の表記
\[ X\sim Be(p) \]
「\(X\) はパラメータ \(p\) のベルヌーイ分布にしたがう」 と読みます。

なお、 0と1の2つの場合を1本の式にまとめると、

\[ f(x) = p^x(1-p)^{1-x}, \qquad x=0,1 \]

と書くこともできます。

この1本の式を無理に暗記するより、 まずは 「成功なら確率 \(p\)、失敗なら確率 \(1-p\)」 と理解しておくことが大切です。

期待値と分散は、

期待値
\(E[X]=p\)
分散
\(V[X]=p(1-p)\)

期待値が \(p\) になることは、

\[ 0\times(1-p)+1\times p=p \]

と計算すると確認できます。

ここがポイント
ベルヌーイ分布のパラメータは \(p\)。
\(E[X]=p,\quad V[X]=p(1-p)\)
STEP 04

ベルヌーイ分布の分散を考える

ベルヌーイ分布の分散は、

\[ V[X]=p(1-p) \]

です。

この分散は、 \(p=0.5\) のときに最大 になります。

分布を並べて考えてみましょう。

\(p\) を変えると分布はどう変わる?
\(p=0.1\)
0
1
\(V[X]=0.09\)
\(p=0.5\)
0
1
\(V[X]=0.25\) ← 最大
\(p=0.9\)
0
1
\(V[X]=0.09\)

\(p\) が0に近ければ、 ほとんどいつも \(X=0\) です。

反対に \(p\) が1に近ければ、 ほとんどいつも \(X=1\) です。

どちらも結果が一方へ集中するので、 ばらつきは小さくなります。

一方で \(p=0.5\) なら、 0と1のどちらになるかが半々です。

一方に集中する
↓
ばらつきは小さい

0と1が半々
↓
ばらつきは最大
ここがポイント
ベルヌーイ分布では、 \(p=0.5\) のとき分散 \(p(1-p)\) が最大になる
STEP 05

二項分布とは何か

次に見るのが、 二項分布です。

ベルヌーイ分布では、 成功か失敗かという試行を 1回だけ考えました。

二項分布では、 同じ成功確率 \(p\) のベルヌーイ試行を、 互いに独立に \(n\) 回行います。

1回から \(n\) 回へ
1回の試行
成功 or 失敗
ベルヌーイ分布
↓
互いに独立に \(n\) 回繰り返す
\(n\) 回の試行
成功した回数を \(X\) とする
二項分布

たとえば、 公平なコインを10回投げて、 表を成功とします。

このとき、 10回中、表が何回出るか という成功回数 \(X\) が 二項分布にしたがいます。

確率変数は「成功回数」
コインを10回投げる
↓
表が出た回数を \(X\) とする
↓
\(X=0,1,2,\ldots,10\)
ベルヌーイ分布
1回の結果 \(0\) または \(1\)
二項分布
\(n\) 回行ったときの成功回数
ここがポイント
二項分布 = 独立なベルヌーイ試行を \(n\) 回行ったときの成功回数の分布
STEP 06

二項分布を式で整理する

\(n\) 回の試行のうち、 ちょうど \(x\) 回成功する確率を考えます。

まず、 \(x\) 回成功する部分から、

\[ p^x \]

が現れます。

残りの \(n-x\) 回は失敗するので、

\[ (1-p)^{n-x} \]

となります。

ただし、 成功する場所は1通りではありません。

例:5回中2回成功
成 成 失 失 失
成 失 成 失 失
失 成 失 成 失
……など
「どの2回で成功するか」の組み合わせがある

その組み合わせの数が \({}_nC_x\) です。

成功する場所の数
\({}_nC_x\)
×
成功 \(x\) 回
\(p^x\)
×
失敗 \(n-x\) 回
\((1-p)^{n-x}\)
二項分布の確率関数
\[ P(X=x) = {}_nC_x p^x (1-p)^{n-x} \]

二項分布の形を決めるパラメータは、 試行回数 \(n\)と 成功確率 \(p\) の2つです。

二項分布は英語で binomial distribution といいます。

この英語名の Binを使って、 次のように表記します。

二項分布の表記
\[ X\sim \mathrm{Bin}(n,p) \]
「\(X\) はパラメータ \(n,p\) の二項分布にしたがう」 と読みます。

たとえば、 サイコロを6回振り、 「1の目が出る」を成功とすると、

\(n=6\)
\(p=\frac16\)
↓
6回中、1の目が出る回数 \(X\)
\[ X\sim\mathrm{Bin}\left(6,\frac16\right) \]
\(n=6,\;p=\frac16\) の二項分布
.335
0
.402
1
.201
2
.054
3
.008
4
.001
5
≈0
6
1の目が1回出る確率が最も大きい

期待値と分散は、

期待値
\(E[X]=np\)
分散
\(V[X]=np(1-p)\)

二項分布は、 独立なベルヌーイ試行を \(n\) 回積み重ねたものです。

1回分
\(E[X]=p\)
\(V[X]=p(1-p)\)

↓ \(n\) 回分

\(E[X]=np\)
\(V[X]=np(1-p)\)
ここがポイント
二項分布は \(X\sim\mathrm{Bin}(n,p)\)。
\(n\) 回のベルヌーイ試行における成功回数の分布
SUMMARY

ベルヌーイ分布と二項分布を整理する

ベルヌーイ分布
何を見る?
1回の試行の成功・失敗
確率変数
\(X=0,1\)
パラメータ
\(p\)
表記
\(X\sim Be(p)\)
期待値
\(E[X]=p\)
分散
\(V[X]=p(1-p)\)
↓
独立に \(n\) 回繰り返す
二項分布
何を見る?
\(n\) 回中の成功回数
確率変数
\(X=0,1,\ldots,n\)
パラメータ
\(n,\;p\)
表記
\(X\sim Bin(n,p)\)
期待値
\(E[X]=np\)
分散
\(V[X]=np(1-p)\)
二項分布の確率関数
\[ P(X=x) = {}_nC_xp^x(1-p)^{n-x} \]
2つの分布の関係
1回の成功・失敗
↓
ベルヌーイ分布
↓
独立に \(n\) 回繰り返す
↓
成功回数を見る
↓
二項分布
最後に
分布名や公式だけでなく 「何を確率変数 \(X\) としているのか」を最初に見分ける

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