スマホで統計学

05

散布図と共分散・相関係数

2つの量的変数には、「一緒に大きくなる」「一方が大きいと他方が小さくなる」といった関係があります。
ここでは、そのばらつき方の“共鳴”を、散布図・共分散・相関係数から捉えます。
このページのゴール

散布図・共分散・相関係数が、2変数のばらつき方の関係をどのように表しているか説明できるようになる

STEP 01

散布図を平均から見る

2つの量的変数の関係を図で表したものが 散布図です。

散布図を見るときのポイントは、 それぞれの変数の平均を基準に考えることです。

ȳ

それぞれの点について、 xの平均からどれくらい離れているか、 yの平均からどれくらい離れているかを見ます。

ここがポイント
散布図では、xとyそれぞれの平均からの「ばらつき方」を見る
STEP 02

偏差の積を「面積」で考える

ある点について、 xの平均との差を横の長さ、 yの平均との差を縦の長さとして考えてみます。

偏差 × 偏差
\[ (x_i-\bar{x})(y_i-\bar{y}) \]
横の長さが \(x_i-\bar{x}\)、縦の長さが \(y_i-\bar{y}\)。 その積は、図で考えると四角形の「符号付き面積」とみなせます。

xとyがともに平均から大きく離れているほど、 この面積も大きくなります。

つまり、2変数のばらつき方が強く“共鳴”しているほど、 面積が大きくなると考えられます。

ここがポイント
xの偏差 × yの偏差を、2変数のばらつき方の「共鳴」を表す面積として考える
STEP 03

共分散で共鳴を数値化する

各データについて計算した 「xの偏差 × yの偏差」をすべて平均したものが 共分散です。

\[ s_{xy} = \frac{1}{n} \sum_{i=1}^{n} (x_i-\bar{x})(y_i-\bar{y}) \]
xの平均との差とyの平均との差を掛け合わせ、 すべてのデータについて合計して、データ数 \(n\) で割ります。

STEP02で見たように、 \((x_i-\bar{x})(y_i-\bar{y})\) は、 散布図では横の偏差 × 縦の偏差でできる 「符号付きの面積」と考えることができます。

ここで重要なのが、 点が平均を境にした4つの象限のどこにあるかです。

4象限で見る「偏差の積」の符号
x偏差(−)
×
y偏差(+)
マイナス方向へ
x偏差(+)
×
y偏差(+)
プラス方向へ
x偏差(−)
×
y偏差(−)
プラス方向へ
x偏差(+)
×
y偏差(−)
マイナス方向へ
右上・左下では2つの偏差の符号が同じなので積はプラス、 左上・右下では符号が異なるので積はマイナスになります。

したがって、右上・左下に大きな面積が多く集まれば、 プラスの値が蓄積されて共分散は正になります。

反対に、左上・右下に大きな面積が多く集まれば、 マイナスの値が蓄積されて共分散は負になります。

正の共分散
xが大きいとき
yも大きい傾向
負の共分散
xが大きいとき
yは小さい傾向

4つの象限にまんべんなく点が散らばる場合には、 プラスとマイナスの面積が打ち消し合います。 そのため、共分散は0に近づきます

ここがポイント
共分散は「2変数の偏差の積」を平均したもの
正なら同じ方向、負なら反対方向にばらつく傾向を表す

ちなみに、xとx自身の共分散を考えると、 次のようになります。

\[ s_{xx} = \frac{1}{n} \sum_{i=1}^{n} (x_i-\bar{x})^2 \]
\(y\) を \(x\) に置き換えると偏差の二乗になるため、 xとxの共分散はxの分散そのものです。

※ここでは記述統計として、データ数 \(n\) で割る共分散を扱っています。 推測統計では、分散と同様に \(n-1\) で割る 不偏共分散も登場します。

STEP 04

相関係数で単位の影響をなくす

共分散には弱点があります。 それは、変数の単位や値の大きさに依存することです。

そこで、共分散を標準化したものが 相関係数です。

\[ r_{xy} = \frac{s_{xy}}{s_x s_y} \]
分子は共分散。 分母にはxとyそれぞれの標準偏差の積を置きます。
分数の見方
分子・主役
共分散 \(s_{xy}\)
2変数の共鳴
分母・モノサシ
\(s_xs_y\)
標準偏差の積

標準偏差の積で割ることで、 xとyのばらつきの大きさに左右されず、 相関係数は-1から+1の範囲で表されます。

-1
強い負の相関
0
無相関
+1
強い正の相関
ここがポイント
相関係数 = 共分散 ÷ 2変数の標準偏差の積
STEP 05

なぜ相関係数の最大値は1なのか

相関係数が1になる最も分かりやすい例は、 xとx自身の相関を考えることです。

\[ r_{xx} = \frac{s_{xx}}{s_xs_x} \]

xとxの共分散 \(s_{xx}\) は、 xの分散 \(s_x^2\) でした。

一方、分母も、 \[ s_xs_x=s_x^2 \] です。

\[ r_{xx} = \frac{s_x^2}{s_x^2} = 1 \]

同じ変数どうしなら、 ばらつき方は完全に一致します。 そのとき相関係数が1になるわけです。

ここがポイント
同じ変数どうしの相関を考えると、相関係数の最大値1を確認できる
STEP 06

相関係数と散布図を対応させる

相関係数の値が変わると、 散布図の見え方も変わります。

r = 0.0
点が広く散らばり、2変数のばらつき方にほとんど共鳴がありません。
r = 0.3
わずかに右肩上がりの傾向が見え始めます。
r = 0.6
右肩上がりの関係が、よりはっきり見えてきます。
r = -0.9
点が右肩下がりの対角線上に強く並びます。

0.8や0.9のように絶対値がかなり大きくなると、 点から「線」をイメージできるほど、 対角線上に並んで見えるようになります。

また、相関係数は次のようにも表せます。

\[ r_{xy} = \frac{1}{n} \sum_{i=1}^{n} \left( \frac{x_i-\bar{x}}{s_x} \right) \left( \frac{y_i-\bar{y}}{s_y} \right) \]
xとyをそれぞれ標準化してから、 その積を平均したものと見ることもできます。
ここがポイント
相関係数の絶対値が大きいほど、点は対角線上に強く並ぶ
SUMMARY

散布図・共分散・相関係数を整理する

散布図
2変数のばらつき方を図示
共分散
2変数の偏差の積から共鳴を数値化
相関係数
共分散を標準化し、-1〜+1で表す
最後に
図で見る → 散布図
数値で見る → 共分散
比較しやすく標準化する → 相関係数
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