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標本分布①
標準化によって標準正規分布が得られることを確認し、標準正規分布にしたがう値の二乗和がカイ二乗分布にしたがう理由と、自由度が分布の形に与える影響を理解する。
標本から計算した値にも「分布」がある
前のレクチャーでは、標本平均 \(\bar{X}\) の期待値や分散を確認しました。
ここからは、標本から計算される値そのものが どのような確率分布にしたがうのか を見ていきます。
このように、標本から計算された統計量がしたがう確率分布を、 標本分布といいます。
このあと推測統計では、標準正規分布、カイ二乗分布、 \(t\) 分布、\(F\) 分布などを使って、 区間推定や仮説検定を行っていきます。
正規分布を標準化する
まず出発点として、平均 \(\mu\)、分散 \(\sigma^2\) の 正規分布にしたがう確率変数 \(X\) を考えます。
\[ X\sim N(\mu,\sigma^2) \]この \(X\) から平均 \(\mu\) を引き、 標準偏差 \(\sigma\) で割ると、 標準化された確率変数 \(Z\) が得られます。
標準化すると、もとの平均や標準偏差の違いが取り除かれ、 \(Z\) は平均0・分散1の標準正規分布にしたがいます。
\(Z\) を2乗して足すと何ができる?
次に、標準正規分布にしたがう確率変数 \(Z_1,Z_2,\ldots,Z_n\) を考えます。
これらをそれぞれ2乗し、すべて足し合わせた値を \(W\) とします。
\(Z\) の平均は0です。 そのため \(Z^2\) は、 平均0からの偏差の2乗とみることができます。
偏差の2乗は、分散を考えるときに登場した量でした。
そのため、カイ二乗分布は、 分散やばらつきに関する推測で重要な役割を果たします。
カイ二乗分布のパラメータは「自由度」
\(Z_1,\ldots,Z_n\) が互いに独立に標準正規分布にしたがうとき、
\[ W = \sum_{i=1}^{n}Z_i^2 \]は、自由度 \(n\) のカイ二乗分布にしたがいます。
ここで \(n\) は、二乗して足し合わせた \(Z\) の個数を表しています。
このように、「自由に値をとれる量がいくつあるか」を表す数を 自由度と呼びます。
今回は \(Z_1,\ldots,Z_n\) がそれぞれ自由に値をとれるため、 自由度は \(n\) です。
ただし、推測統計では条件によって自由に決められない値が生じ、 自由度が単純なサンプルサイズとは一致しない場合があります。 これは後のレクチャーで詳しく扱います。
自由度が大きいと分布はどう変わる?
カイ二乗分布には、正規分布とはかなり違う特徴があります。
\(Z_i^2\) の和なので、負の値にはならない
とくに自由度が小さいと、右側に長い裾をもつ
さらに重要なのが、 自由度によって分布の形や位置が変わる という点です。
自由度が大きくなるということは、 二乗して足し合わせる \(Z_i^2\) の個数が増えるということです。
カイ二乗分布の期待値と分散は、自由度 \(n\) を使って、
たとえば、自由度3なら期待値は3、 自由度10なら期待値は10です。
図を見ると、自由度10の分布でも右側の裾は残っています。 ただし、自由度3と比べると歪みは小さくなり、山の位置も右へ移っています。
つまり、 自由度が増えるほど分布の中心は右へ移り、形も少しずつ変わる とイメージしておきましょう。
標準正規分布とカイ二乗分布を整理する
その「ばらつきの集まり」がカイ二乗分布になる。
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