13
条件付き確率
通常の確率では、起こりうるすべての結果を含む全事象の中で確率を考えます。条件付き確率では、そこからさらに「ある事象が起きた」という条件に世界を絞ります。サイコロの例を使って、この視点の切り替えと、乗法定理・独立性まで理解していきます。
このページのゴール
条件付き確率を「条件によって考える世界を絞ること」として理解し、乗法定理と独立性との関係を説明できるようになる
STEP 01
条件付き確率とは何か
前のレクチャーでは、
起こりうるすべての結果を含む
全事象 \(\Omega\) の中で確率を考えました。
条件付き確率では、
そこからさらに
「ある事象が起きた」という条件に世界を絞って
確率を考えます。
通常の確率
\(\Omega\)
起こりうるすべての結果の世界
↓
「Aが起きた」という条件をつける
たとえば、
「事象Aが起きたという条件のもとで、事象Bが起こる確率」
を考えるのが条件付き確率です。
これは
\[
P(B\mid A)
\]
と表します。
ここがポイント
条件付き確率では、
全事象から「条件となる事象」の世界へ視点を移す
STEP 02
事象Aの世界に絞って考える
前のレクチャーと同じサイコロの例を使います。
まずは全事象の中で見ると、
AとBは次のような位置関係になっています。
\(\Omega=\{1,2,3,4,5,6\}\)
\(A\):3以下
\(B\):偶数
ここで、
「Aが起きた」
ことが分かったとします。
すると、もう4・5・6について考える必要はありません。
起こりうる結果は、
Aが起きたあとの世界
この3つのうち、
B(偶数)にも入るのは「2」だけです。
したがって、
Aという条件のもとでBが起こる確率は
\[
P(B\mid A)=\frac13
\]
もともとは6個あった世界が、
Aという条件によって
1・2・3の3個だけの世界に絞られた
と考えると分かりやすくなります。
ここがポイント
\(P(B\mid A)\) では、
Aの中だけを新しい「全体」としてBの割合を見る
STEP 03
条件付き確率の式を読む
条件付き確率は、
次の式で計算できます。
\[
P(B\mid A)
=
\frac{P(A\cap B)}{P(A)}
\]
この式も、
「Aの世界に絞る」と考えると意味が見えてきます。
サイコロの例では、
\[
P(A\cap B)
=
\frac16
\]
\[
P(A)
=
\frac36
\]
したがって、
\[
P(B\mid A)
=
\frac{1/6}{3/6}
=
\frac13
\]
Aの中に全部で3個
↓
そのうちBでもあるものが1個
↓
\(\frac13\)
ここがポイント
条件付き確率 =
「条件となる事象」の中で、目的の事象が占める割合
STEP 04
乗法定理を理解する
条件付き確率の式を整理すると、
乗法定理が得られます。
\[
P(A\cap B)
=
P(A)P(B\mid A)
\]
この式は、
AかつBが起こる確率を、
Aが起こる確率と、Aの条件下でBが起こる確率の積で表したものです。
×
その中で
Bが起こる
\(P(B\mid A)\)
↓
サイコロの例なら、
\[
P(A)
=
\frac36
\]
\[
P(B\mid A)
=
\frac13
\]
\[
P(A\cap B)
=
\frac36\times\frac13
=
\frac16
\]
ここがポイント
乗法定理では、
「Aが起こる確率」と
「Aの中でBが起こる確率」を掛ける
STEP 05
独立とは何かを理解する
条件付き確率とあわせて重要なのが、
独立という考え方です。
2つの事象AとBが独立であるとは、
Aが起こったかどうかによって、Bの起こりやすさが変わらない
ということです。
独立なら
=
Aという条件つき
\[
P(B\mid A)
\]
つまり、
\[
P(B\mid A)
=
P(B)
\]
であれば、
Aという条件をつけてもBの確率は変化していないので、
AとBは独立と考えられます。
このとき乗法定理は、
では、今回のサイコロの例ではどうでしょうか。
Aの条件下
\[
P(B\mid A)
=
\frac13
\]
≠
全事象の中
\[
P(B)
=
\frac36
=
\frac12
\]
Aという条件をつけることで、
Bの確率が
\(\frac12\) から \(\frac13\) に変化しています。
したがって、
このAとBは独立ではありません。
ここがポイント
Aという条件をつけてもBの確率が変わらなければ、
AとBは独立
STEP 06
表を使って条件付き確率を整理する
条件付き確率で混乱したときは、
事象の関係を表に整理すると分かりやすくなります。
今回のサイコロの例を、
A・Bとその余事象で整理してみましょう。
\(A\)
\(\frac16\)
\(\frac26\)
\(\frac36\)
\(A^c\)
\(\frac26\)
\(\frac16\)
\(\frac36\)
計
\(\frac36\)
\(\frac36\)
\(\frac66\)
\(P(B\mid A)\) を求めるときは、
Aという条件がついているので、Aの行だけを見ます。
Aの行だけを見る
↓
\[
P(B\mid A)
=
\frac13
\]
条件付き確率では、
「何が条件なのか」を確認し、その行や列だけの世界を見る
と考えると整理しやすくなります。
ここがポイント
条件付き確率で迷ったら、
条件となる事象だけに範囲を絞って考える
SUMMARY
条件付き確率を整理する
\(\color{white}{P(B\mid A)}\)
Aという条件下でBが起こる確率
乗法定理
\(P(A\cap B)=P(A)P(B\mid A)\)
条件付き確率の考え方
全事象を見る
↓
条件となる事象に世界を絞る
↓
その中で目的の事象の割合を見る
最後に
条件付き確率の核心は、
「分母となる世界が変わる」と考えること
NEXT STEP
次のステップ:統計検定®2級を目指す
このサイトで統計学の基礎を学んだあと、
統計検定®2級の合格まで体系的に学びたい方へ。
統計検定®2級対策講座【ベストセラー版】
約9時間の動画講義と200問以上の小テストに加えて、
模擬試験にも取り組めます。
講座内ではQ&Aも利用でき、
これまでに400問以上の質問に回答してきました。
約9時間の動画講義
200問以上の小テスト
模擬試験
400問以上のQ&A
統計検定®2級対策講座を見る
資格試験ではなく、統計学そのものを動画で学びたい方へ
記述統計・確率・推定・検定を基礎から学ぶ
「統計学ベーシック講座その1『確率分布・推定・検定』」
も用意しています。
統計学ベーシック講座を見る →