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仮説検定の考え方
仮説検定では、まず「帰無仮説」と呼ばれる仮説を設定し、その仮説のもとでは起こりにくいデータが実際に観測されたかどうかを考えます。このレクチャーでは、帰無仮説・p値・有意水準・棄却という、仮説検定を理解するうえで欠かせない基本的な考え方を整理します。
このページのゴール
仮説検定では帰無仮説 \(H_0\) を出発点として考えることを理解し、p値と有意水準 \(\alpha\) の関係から「帰無仮説を棄却する」「有意である」という判断の意味を説明できるようになる。
STEP 01
ここからは仮説検定を学ぶ
ここからは、
仮説検定
について見ていきます。
仮説検定は、
推測統計を代表する重要な考え方の1つです。
文字どおり、
ある仮説をデータによって検討する
方法ですが、
ここで検定する中心的な仮説が
です。
このレクチャーでは、
まず細かな計算方法に入る前に、
仮説検定とはどのような考え方なのか
を整理していきます。
最初に
仮説検定を理解するときは、
まず「帰無仮説 \(H_0\)」を中心に考える。
STEP 02
まず「帰無仮説が正しい世界」を考える
仮説検定では、
まず
帰無仮説 \(H_0\) が正しい
と仮定します。
そして、
その帰無仮説の世界では、
観測されるデータが
どのような確率分布をとるのかを考えます。
帰無仮説 \(H_0\) の世界
帰無仮説 \(H_0\) のもとでは
めったに起こらない領域
をあらかじめ考える
そして、
帰無仮説が正しいとした場合には
めったに起こらない
と考えられる領域を設定します。
その確率を
\(\alpha\)
と表します。
出発点
まず帰無仮説 \(H_0\) が正しいと仮定し、
その世界でどんなデータが起こり得るかを考える。
STEP 03
「めったに起こらないこと」が起きたらどう考える?
ここで、
帰無仮説 \(H_0\) のもとでは
発生する確率が非常に小さいデータが、
実際に観測されたとします。
このとき、
「めったに起こらないことが、
たまたま起きた」
ではなく
「そもそも帰無仮説 \(H_0\) が
正しくないのではないか?」
と考えるのが、
仮説検定の基本的な発想です。
日本統計学会編『統計学基礎』より
『帰無仮説\(H_0\)の下で発生する確率が小さい事象が観測された場合には、帰無仮説\(H_0\)の妥当性を疑い、“確率の小さい現象が偶然に起こった”のではなく、“帰無仮説は正しくない”と考える』
「珍しいことが起きた」とそのまま受け入れるのではなく、
最初に置いた仮説の方を疑う
という考え方です。
仮説検定の発想
\(H_0\) のもとでは非常に起こりにくいデータが観測されたら、
\(H_0\) の妥当性を疑う。
STEP 04
観測されたデータより外側の確率を考える
実際の仮説検定では、
観測されたデータが
どの程度めずらしいのかを
確率
で評価します。
このように、
帰無仮説のもとで
観測されたデータ以上に起こりにくい側の確率
を考えます。
この確率が、
仮説検定で重要になる
p値
です。
帰無仮説 \(H_0\) のもとで、
今回の観測結果がどれくらい起こりにくいか
を表す確率
↓
p値
STEP 05
p値を基準 \(\alpha\) と比較する
p値を求めたら、
あらかじめ決めておいた
基準となる確率 \(\alpha\)
と比較します。
そして、
p値が \(\alpha\) より小さい場合には、
\[
p\text{値}<\alpha
\]
↓
帰無仮説 \(H_0\) は正しくないと判断する
日本統計学会編『統計学基礎』より
『帰無仮説の下で想定される確率分布の裾の確率を判断基準とし、その確率が基準となる値αより小さいときに帰無仮説は正しくないと判定する』
判断の基本
p値が基準 \(\alpha\) より小さいなら、
帰無仮説 \(H_0\) を疑う。
STEP 06
\(\alpha\) を「有意水準」と呼ぶ
判断の基準として設定する
\(\alpha\)
は、
有意水準
と呼ばれます。
有意水準
\[
\alpha
\]
よく使われる値
\[
\alpha=0.05
\qquad
\alpha=0.01
\]
つまり、
5%や1%といった確率を、
「これより起こりにくければ
帰無仮説を疑おう」という
判断基準として設定します。
日本統計学会編『統計学基礎』より
『αは有意水準とよばれ、α = 0.05またはα = 0.01が用いられることが多い。このような形で帰無仮説を正しくないと判定するとき、「有意水準で帰無仮説は棄却される」あるいは「有意水準で有意である」と表現する』
STEP 07
「棄却する」「有意である」が仮説検定の言葉
仮説検定では、
判断するときの表現にも特徴があります。
p値が有意水準 \(\alpha\) より小さく、
帰無仮説を正しくないと判断する場合には、
帰無仮説 \(H_0\) を
棄却する
または
結果は
有意である
と表現します。
この
「棄却」「有意」
という言葉は、
仮説検定を学ぶうえで非常に重要です。
言葉に慣れておく
\(p\text{値}<\alpha\)
↓
帰無仮説を棄却する
↓
統計的に有意である
重要用語
「帰無仮説を棄却する」
「有意である」
は仮説検定ならではの重要な表現。
STEP 08
仮説検定の主役は「帰無仮説」
ここまでの説明を振り返ると、
帰無仮説
という言葉が何度も登場しています。
これは偶然ではありません。
仮説検定では、
まず帰無仮説 \(H_0\) を設定し、
その帰無仮説の世界を基準として
すべてを考えていきます。
帰無仮説 \(H_0\) を設定
↓
\(H_0\) のもとでの確率分布を考える
↓
観測されたデータの起こりにくさを評価
↓
p値と有意水準 \(\alpha\) を比較
↓
帰無仮説を棄却するか判断
仮説検定を学んでいて、
「いま何をやっているのかわからない」
と感じたら、
「いま、帰無仮説 \(H_0\) のもとで
何を考えているのか?」
に戻って考えると、
全体を整理しやすくなります。
このレクチャーで一番大切
仮説検定の主役は
「帰無仮説 \(H_0\)」。
迷ったら、まず帰無仮説に戻って考える。
SUMMARY
仮説検定の考え方を整理する
出発点
帰無仮説 \(H_0\)
が正しいと仮定する
p値
帰無仮説のもとで、
観測結果がどれくらい起こりにくいか
を確率で評価する
有意水準
判断基準となる確率
\(\alpha\)
代表例:
\(0.05\)、\(0.01\)
判断
\[
p\text{値}<\alpha
\]
なら、
帰無仮説を棄却する
仮説検定の基本的な流れ
帰無仮説 \(H_0\)
↓
\(H_0\) のもとでの確率分布
↓
観測データ
↓
p値
↓
有意水準 \(\alpha\) と比較
↓
帰無仮説を棄却するか判断
重要な言葉
帰無仮説 \(H_0\)
p値
有意水準 \(\alpha\)
棄却
有意
最後に
仮説検定では、
帰無仮説 \(H_0\) を基準として
観測されたデータの起こりにくさを考える。
主役はあくまで
「帰無仮説」である。
引用元:日本統計学会編『統計学基礎』p.135,136
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