スマホで統計学

08

決定係数

回帰直線を求めたら、次に気になるのは「その直線がデータにどれくらいうまく当てはまっているのか」です。ここでは、回帰直線のあてはまりのよさを表す決定係数 \(R^2\) を、3つの平方和の関係から理解します。
このページのゴール

決定係数 \(R^2\) が「yの変動のうち、回帰直線でどれだけ説明できたか」を表す指標であることを、平方和の分解と結びつけて説明できるようになる

STEP 01

決定係数とは何か

前のレクチャーでは、 最小二乗法を使って回帰直線を求めました。

では、その回帰直線は 実際のデータにどれくらいうまく当てはまっているのでしょうか。

その「あてはまりのよさ」を表す代表的な指標が 決定係数です。

決定係数
\(R^2\)
回帰直線の「あてはまりのよさ」を表す

決定係数は、 寄与率分散説明率 と呼ばれることもあります。

式では、次のように表します。

\[ R^2 = \frac{S_R}{S_y} \]
\(S_y\) は観測されたyの変動、 \(S_R\) は回帰直線によって説明される変動を表します。

この式を理解するために、 まずは \(S_y\)、\(S_e\)、\(S_R\) が それぞれ何を表しているのかを順番に見ていきましょう。

ここがポイント
決定係数 \(R^2\) は、 回帰直線のデータへのあてはまりのよさを表す
STEP 02

yの「もともとの変動」を見る

最初に、 回帰直線を考える前の yそのものの変動を見ます。

yの変動は、 各データが平均 \(\bar{y}\) から どれくらい離れているかで捉えます。

\[ S_y = \sum_{i=1}^{n} (y_i-\bar{y})^2 \]
実際の値 \(y_i\) と平均 \(\bar{y}\) との差を二乗し、 すべて足したものです。
\(\bar{y}=8\)
家賃 \(y\)
グレーの棒は、 平均 \(\bar{y}\) から実際の \(y_i\) までの距離です。

このグレーの棒の長さを二乗し、 すべて足したものが \(S_y\) です。

全体の変動
\(S_y\)
もともとyがどれくらい散らばっていたか
ここがポイント
\(S_y\) = yの「もともとの全体の変動」
STEP 03

説明できずに残った変動を見る

次に、 回帰直線を引いても 説明できずに残った部分を考えます。

これは前のレクチャーで見た 残差です。

\[ S_e = \sum_{i=1}^{n} (y_i-\hat{y}_i)^2 \]
実際の値 \(y_i\) と、 回帰直線による推定値 \(\hat{y}_i\) の差の平方和です。
回帰直線
赤い棒は、 実際の \(y_i\) と回帰直線上の \(\hat{y}_i\) の差です。

最小二乗法では、 この残差の二乗の合計 \(S_e\) が できるだけ小さくなるように回帰直線を求めました。

説明できずに残った変動
\(S_e\)
残差平方和
ここがポイント
\(S_e\) = 回帰直線でも説明できずに残った変動
STEP 04

回帰直線が説明した変動を見る

次に、 回帰直線によって 説明できた変動を考えます。

それが \(S_R\) です。

\[ S_R = \sum_{i=1}^{n} (\hat{y}_i-\bar{y})^2 \]
回帰直線上の値 \(\hat{y}_i\) と、 yの平均 \(\bar{y}\) との差の平方和です。
\(\bar{y}=8\)
回帰直線
水色の棒は、 平均 \(\bar{y}\) から回帰直線上の \(\hat{y}_i\) までの距離です。

回帰直線がデータの変化をうまく捉えていれば、 回帰直線上の \(\hat{y}\) もそれに応じて変化します。

その変動の大きさを表しているのが \(S_R\) です。

回帰直線が説明した変動
\(S_R\)
回帰による平方和
ここがポイント
\(S_R\) = 回帰直線によって説明できた変動
STEP 05

3つの平方和の関係を整理する

ここまで見てきた3つの変動を整理しましょう。

\(S_y\)
yの全体の変動
\(S_R\)
回帰直線が説明した変動
\(S_e\)
回帰直線でも説明できず残った変動

最小二乗法で求めた回帰直線では、 次の平方和の分解が成立します。

\[ S_y = S_R + S_e \]
全体の変動 = 説明できた変動 + 説明できなかった変動
平方和の分解
\(S_R\)
\(S_e\)
\(S_y\)
全体の変動 \(S_y\) が、 \(S_R\) と \(S_e\) に分かれます。

回帰直線がうまくデータに当てはまれば、 説明できた変動 \(S_R\) は大きくなり、 説明できず残った変動 \(S_e\) は小さくなります。

ここがポイント
\(S_y=S_R+S_e\)
全体の変動は「説明できた部分」と「残った部分」に分解できる
STEP 06

決定係数の意味を理解する

ここまでくると、 決定係数の式の意味が見えてきます。

\[ R^2 = \frac{S_R}{S_y} \]

分母の \(S_y\) は もともとの全体の変動です。

分子の \(S_R\) は、 そのうち 回帰直線によって説明できた変動です。

分数の見方
分子
\(S_R\)
説明できた変動
分母
\(S_y\)
全体の変動

つまり決定係数は、

yの全体の変動のうち
回帰直線で説明できた変動の割合
あてはまりがよい \(R^2\) 大
説明できた部分が大きい 残差が小さい
あてはまりがよくない \(R^2\) 小
説明できた部分が小さい 残差が大きい

今回の「部屋の広さ」と「家賃」のデータでは、 決定係数は

\[ R^2=0.5 \]
家賃の変動の50%を、 部屋の広さを使った回帰直線で説明できたことを表します。

一方で、 たとえば「アパート名の文字数」のように 家賃とほとんど関係のなさそうな変数を説明変数にすると、 回帰直線はほぼ水平になると考えられます。

その場合、回帰直線上の \(\hat{y}\) はあまり変化しないため、 \(S_R\) は小さくなり、 決定係数 \(R^2\) も小さくなります。

決定係数が 分散説明率 とも呼ばれるのは、 このように 「yの変動をどれだけ説明できたか」 を表しているからです。

ここがポイント
決定係数 \(R^2\) = 全体の変動のうち、回帰直線で説明できた変動の割合
SUMMARY

決定係数を整理する

\(S_y\)
yの全体の変動
\(S_R\)
回帰直線が説明した変動
\(S_e\)
回帰直線でも説明できず残った変動
\[ S_y = S_R + S_e \] \[ R^2 = \frac{S_R}{S_y} \]
決定係数の考え方
全体の変動

そのうちどれだけを回帰直線で説明できたか

\(R^2\)
最後に
決定係数 = 回帰直線の「あてはまりのよさ」
= yの変動をどれだけ説明できたか
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