スマホで統計学

16

確率関数と確率密度関数

前のレクチャーでは、確率変数には離散型と連続型があり、確率分布の表し方も異なることを確認しました。このレクチャーでは、その確率分布を数式で表す「確率関数」と「確率密度関数」、さらに確率を累積して表す「累積分布関数」を、図と数式を対応させながら理解していきます。
このページのゴール

離散型の確率関数と連続型の確率密度関数の違いを理解し、累積分布関数と積分が何を表しているのかを図から説明できるようになる

STEP 01

確率分布を数式で表す

前のレクチャーでは、 確率変数には 離散型連続型 があることを確認しました。

離散型では、 サイコロの目のような飛び飛びの値に対して、 1つずつ確率が対応していました。

離散型
\(\frac16\)
1
\(\frac16\)
2
\(\frac16\)
3
\(\frac16\)
4
\(\frac16\)
5
\(\frac16\)
6

一方、連続型では、 身長や時間のように値が無数にあるため、 なめらかな分布として表現しました。

連続型

そして、 こうした確率分布を数式で表現するものが、 これから学ぶ関数です。

離散型
確率関数 \(f(x)\)
連続型
確率密度関数 \(f(x)\)
ここがポイント
同じ \(f(x)\) でも、 離散型では確率、連続型では確率密度を表す
STEP 02

離散型の確率関数を理解する

まずは、 離散型の確率分布から見ていきましょう。

離散型では、 確率変数 \(X\) がある値 \(x_i\) をとる確率を、 関数 \(f(x_i)\) で表します。

\[ P(X=x_i)=f(x_i) \]

つまり、 \(x_i\) を入力すると、その値が生じる確率が返ってくる と考えると分かりやすいです。

確率関数のイメージ
確率変数の値
\(x_i\)
\(f(x_i)\)
その値が生じる確率
\(P(X=x_i)\)

たとえば公平なサイコロなら、 \(X=1\) から \(6\) のどの値についても、 確率は \(\frac16\) です。

\[ f(1)=f(2)=\cdots=f(6)=\frac16 \]

また、\(f(x_i)\) は確率そのものなので、 次の2つの性質を満たします。

それぞれの確率
\[ 0\le f(x_i)\le1 \]
すべての確率を足す
\[ \sum_i f(x_i)=1 \]
ここがポイント
離散型では、 \(f(x_i)\) そのものが「その値をとる確率」
STEP 03

累積分布関数とは何か

次に、 累積分布関数を見ていきます。

累積分布関数は、 名前のとおり、 ある値までの確率を累積したものです。

\[ F(x)=P(X\le x) \]

小文字の \(f\) ではなく、 大文字の \(F\) を使う点にも注意しましょう。

たとえば、サイコロで \(F(2)\) を考えます。

\(X\le2\) の確率を集める
1
2
3
4
5
6
1と2の確率を累積する
\[ F(2)=P(X\le2) \] \[ =P(X=1)+P(X=2) \] \[ =\frac16+\frac16=\frac26 \]
\(f(x)\) は「その値の確率」、 \(F(x)\) は「そこまで累積した確率」です。
ここがポイント
累積分布関数 \(F(x)\) は、 \(X\le x\) となる確率を表す
STEP 04

連続型では「密度」を考える

離散型では、 1つの値の確率を そのまま考えることができました。

ここから連続型では、 この考え方を 「区間の面積」 へ切り替えます。

連続型では、 身長のように値が無数に存在するため、 「ある1つの値」に確率を割り当てる考え方では扱えません。

連続型で重要なこと

連続型では、 厳密にある1点だけをとる確率は0です。

\[ P(X=x)=0 \]

そこで連続型では、 1点ではなく、 ある幅をもった区間 に入る確率を考えます。

そのために使うのが、 確率密度関数 \(f(x)\) です。

ごく小さな区間を考える
f(x) Δx

図の細い長方形に注目してください。

横の幅が \(\Delta x\)、 縦の高さがおよそ \(f(x)\) です。

横の幅 \(\Delta x\)
×
高さ \(f(x)\)

ごく細い長方形の面積

\(\Delta x\) が十分に小さければ、 この区間に入る確率は、 この細い長方形の面積で近似できます。

\[ P(x\le X\le x+\Delta x) \approx f(x)\Delta x \]
ここが重要です。
\(f(x)\) そのものは確率ではありません。 \(f(x)\) は確率密度です。

連続型では、 曲線の高さそのものではなく、 横幅をもった「面積」が確率になる と考えます。

ここがポイント
連続型では1点の確率は0。
確率密度 \(f(x)\) の下にある「面積」が確率になる
STEP 05

積分で区間の確率を求める

実際には、 ごくわずかな区間よりも、 ある程度の幅をもった範囲に入る確率 を知りたいことが多くあります。

たとえば身長なら、 「165cm以上175cm以下になる確率」 といった考え方です。

\(a\) から \(b\) までの確率
a b この面積が確率

\(a\) から \(b\) までの 曲線の下の面積を求めれば、 その範囲に入る確率が分かります。

この面積を求める計算が、 積分です。

\[ P(a\le X\le b) = \int_a^b f(x)\,dx \]
積分のイメージ
ごく細い面積を
たくさん集める

区間全体の面積になる

その区間の確率になる

また、確率変数がとりうる すべての範囲を考えれば、 確率の合計は1になります。

したがって、 確率密度関数の下にある 分布全体の面積も1です。

分布全体の面積
\[ \int_{-\infty}^{\infty}f(x)\,dx=1 \]
積分という記号を見ると難しく感じるかもしれませんが、 まずは「曲線の下の面積を求めている」 とイメージできれば大丈夫です。
ここがポイント
積分は、確率密度関数の下にある面積を求める計算。
その面積が区間の確率になる
STEP 06

連続型の累積分布関数を見る

最後に、 連続型でも 累積分布関数を確認します。

意味は離散型と同じです。

\[ F(x)=P(X\le x) \]

違うのは、 連続型では確率を 面積として求める という点です。

\(x\) までの確率を累積する
x 累積した確率

\(F(x)\) は、 左側から \(x\) までの 曲線の下の面積 を表します。

\[ F(x) = \int_{-\infty}^{x}f(t)\,dt \]

たとえば身長を確率変数として \(F(170)\) と書けば、 身長が170cm以下となる確率 を表します。

\(F(170)\)
身長が170cm以下となる確率

実際の統計では、 毎回こうした積分を手計算するわけではありません。

試験では、 確率をあらかじめ計算して一覧にした 付表 を利用する場面もあります。

一方で、簡単な積分計算が求められることもあります。 まずは難しく考えすぎず、 「積分は面積を求める計算」 という意味を押さえておきましょう。

ここがポイント
\(F(x)\) は、 左側から \(x\) までの確率をすべて累積したもの
SUMMARY

確率関数と確率密度関数を整理する

確率関数
離散型では \(f(x_i)\) が その値の確率
確率密度
連続型の \(f(x)\) は 確率そのものではない
積分
曲線の下の 面積を求める
累積分布
\(x\) 以下となる 確率を累積 したもの
離散型
1つの値

その値の確率 \(f(x_i)\)
連続型
1点の確率は0

確率密度 \(f(x)\)

区間を決める

積分で面積を求める

その面積が確率
区間の確率
\[ P(a\le X\le b) = \int_a^b f(x)\,dx \]
累積分布関数
\[ F(x)=P(X\le x) \]
最後に
連続型で最も大切なのは
「高さ」ではなく「面積」が確率になるということ
NEXT STEP

次のステップ:統計検定®2級を目指す

このサイトで統計学の基礎を学んだあと、 統計検定®2級の合格まで体系的に学びたい方へ。

統計検定®2級対策講座【ベストセラー版】

約9時間の動画講義と200問以上の小テストに加えて、 模擬試験にも取り組めます。 講座内ではQ&Aも利用でき、 これまでに400問以上の質問に回答してきました。

約9時間の動画講義
200問以上の小テスト
模擬試験
400問以上のQ&A
統計検定®2級対策講座を見る
資格試験ではなく、統計学そのものを動画で学びたい方へ

記述統計・確率・推定・検定を基礎から学ぶ 「統計学ベーシック講座その1『確率分布・推定・検定』」 も用意しています。

統計学ベーシック講座を見る →