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離散型確率分布②

前のレクチャーでは、1回の成功・失敗を表すベルヌーイ分布と、複数回の試行における成功回数を表す二項分布を学びました。後半では、「一定期間に何回起こるか」を表すポアソン分布と、「初めて成功するまで何回かかるか」を表す幾何分布を見ていきます。
このページのゴール

ポアソン分布と幾何分布について、「何を確率変数 \(X\) としているのか」を理解し、それぞれの確率関数・パラメータ・期待値・分散を説明できるようになる

STEP 01

後半で学ぶ2つの分布を見通す

前のレクチャーでは、 ベルヌーイ分布二項分布 を学びました。

後半では、 ポアソン分布幾何分布 を見ていきます。

今回も最も重要なのは、 「何を確率変数 \(X\) としているのか」 です。

ポアソン分布
一定期間に、ある事象が何回起こるか
確率変数 \(X\) = 発生回数
幾何分布
初めて成功するまで何回かかるか
確率変数 \(X\) = 試行回数
何を数えている?
ポアソン分布
→ 起こった「回数」

幾何分布
→ 成功までにかかった「回数」
ここがポイント
分布名を覚える前に、 「何を数えている分布なのか」を見分ける
STEP 02

ポアソン分布とは何か

まずは、 ポアソン分布です。

ポアソン分布は、 ある事象が 一定の割合で、互いに独立に発生すると考えられるとき、 一定期間に何回発生するかを表す分布です。

その一定期間における 平均発生回数を \(\lambda\) と表します。

ポアソン分布にしたがうもの
一定期間を見る

平均 \(\lambda\) 回起こる事象

実際の発生回数を \(X\) とする

\(X=0,1,2,\ldots\)

たとえば、 ある交差点で交通事故が 1か月に平均1.5回 発生するとします。

発生の仕方をポアソン分布で表せると考えるなら、 次の1か月に事故が 0回、1回、2回……と何回発生するかという確率変数 \(X\) を、 ポアソン分布で考えることができます。

\(\lambda=1.5\) のポアソン分布
.223
0
.335
1
.251
2
.126
3
.047
4
.014
5
.004
6
平均は1.5回でも、実際の発生回数 \(X\) は 0回、1回、2回……という整数値をとる

ここで重要なのは、 \(\lambda\) が 一定期間における平均発生回数 を表していることです。

平均が \(\lambda\) 回なら、何でもポアソン分布になるわけではありません
一定の割合で発生し、それぞれの発生が独立していると考えられるような状況で用いる分布です
ここがポイント
ポアソン分布では、 \(X\) は発生回数、\(\lambda\) は平均発生回数
STEP 03

ポアソン分布を式で整理する

ポアソン分布は英語で Poisson distribution といいます。

分布の形を決めるパラメータは、 平均発生回数を表す \(\lambda\) です。

ポアソン分布の表記
\[ X\sim\mathrm{Pois}(\lambda) \]

確率関数は、

ポアソン分布の確率関数
\[ P(X=x) = \frac{e^{-\lambda}\lambda^x}{x!}, \qquad x=0,1,2,\ldots \]

この式でまず押さえておきたいのは、 分布の形を決めるパラメータが \(\lambda\) だけ だということです。

式の確認
\(e\) はネイピア数とよばれる定数で、 およそ \(2.718\) です
また、 \(e^{-\lambda}=1/e^\lambda\) と計算できます

ポアソン分布では、 期待値と分散がともに \(\lambda\) になります。

期待値
\(E[X]=\lambda\)
分散
\(V[X]=\lambda\)

さらに、 ポアソン分布は 前のレクチャーで学んだ二項分布とも 深くつながっています。

イメージとしては、 「1回ではめったに起こらないことを、たくさん観測する」 状況です。

たとえば \(n=100,\;p=0.01\)
チャンスはたくさんある
100回試行する
ただし1回ではめったに成功しない
成功確率は1%
平均成功回数
\(np=100\times0.01=1\)

このように、 試行回数 \(n\) が大きく、 成功確率 \(p\) が小さい二項分布では、 平均成功回数

\[ np=\lambda \]

とおくことで、 ポアソン分布によって近似できます。

二項分布からポアソン分布へ
\(n\) が大きい

\(p\) が小さい

\(np=\lambda\)

ポアソン分布で近似
注意:
単に \(np=\lambda\) とすればよいのではなく、 \(n\) が大きく、\(p\) が小さい 状況で使う近似です
ここがポイント
ポアソン分布のパラメータは \(\lambda\)
そして \(E[X]=V[X]=\lambda\)
STEP 04

幾何分布とは何か

最後に、 幾何分布を見ていきます。

幾何分布でも、 成功確率 \(p\) のベルヌーイ試行を繰り返します。

ただし、 二項分布とは 何を数えているのか が違います。

二項分布
\(n\) 回のうち「何回成功したか」
\(X\) = 成功回数
幾何分布
「初めて成功するまで何回かかったか」
\(X\) = 試行回数

たとえば、 成功確率 \(p\) の試行を繰り返して、 3回目に初めて成功したとします。

3回目に初めて成功
1回目
失敗
2回目
失敗
3回目
成功
\(X=3\)

このように、 初めて成功するまでの試行回数 \(X=1,2,3,\ldots\) が幾何分布にしたがいます。

ここがポイント
幾何分布では、 \(X\) は「初めて成功するまでの試行回数」
STEP 05

幾何分布を式とグラフで理解する

\(x\) 回目に 初めて成功する 確率を考えてみましょう。

\(x\) 回目で初めて成功するためには、 その前の \(x-1\) 回を すべて失敗している必要があります。

最初の \(x-1\) 回
すべて失敗

\((1-p)^{x-1}\)

\(x\) 回目
成功

\(p\)

この2つを掛け合わせると、 幾何分布の確率関数になります。

幾何分布の確率関数
\[ P(X=x) = (1-p)^{x-1}p \]
\(x=1,2,3,\ldots\)

幾何分布は英語で geometric distribution といいます。

幾何分布の表記
\[ X\sim\mathrm{Geom}(p) \]

分布の形を決めるパラメータは、 成功確率 \(p\) です。

たとえば \(p=0.2\) なら、 次のような分布になります。

幾何分布 \(p=0.2\)
1
2
3
4
5
6
7
8
1回目に成功する確率が最も大きく、
試行回数が増えるほど確率は小さくなる

なぜ、 右へ進むほど棒が低くなるのでしょうか。

1回遅くなると何が増える?
初成功が1回遅くなる

その前にさらに1回
失敗する必要がある

確率に \(1-p\) が
もう1回掛かる

たとえば、

1回目に成功
\(p\)
2回目に初めて成功
\((1-p)p\)
3回目に初めて成功
\((1-p)^2p\)

このように、 1回遅くなるたびに \(1-p\) がもう1つ掛かるため、 確率は少しずつ小さくなっていきます。

期待値と分散も確認しておきましょう。

期待値
\[ E[X]=\frac1p \]
分散
\[ V[X]=\frac{1-p}{p^2} \]

期待値 \(\frac1p\) は、 直感的にも理解しやすい式です。

\(p=\frac12\)
平均2回
\(p=\frac13\)
平均3回
\(p=\frac16\)
平均6回
ここがポイント
幾何分布では、 1回遅くなるたびに \(1-p\) がもう1つ掛かる
そのため、試行回数が増えるほど確率は小さくなる
STEP 06

4つの離散型確率分布を整理する

ここまでで、 4つの代表的な離散型確率分布を学びました。

最後に、 何を確率変数 \(X\) としているのか を軸に整理してみましょう。

ベルヌーイ分布
1回の成功・失敗
\(X=0,1\)
二項分布
\(n\) 回中の成功回数
\(X=0,1,\ldots,n\)
ポアソン分布
一定期間の発生回数
\(X=0,1,2,\ldots\)
幾何分布
初めて成功するまでの試行回数
\(X=1,2,3,\ldots\)
見分けるキーワード
1回の成功・失敗
→ ベルヌーイ

\(n\) 回中の成功回数
→ 二項

一定期間の発生回数
→ ポアソン

初成功までの試行回数
→ 幾何
ここがポイント
4つの分布は、 「何を数えているのか」で見分ける
SUMMARY

ポアソン分布と幾何分布を整理する

ポアソン分布
何を見る?
一定期間の発生回数
確率変数
\(X=0,1,2,\ldots\)
パラメータ
\(\lambda\)
表記
\(X\sim\mathrm{Pois}(\lambda)\)
期待値
\(E[X]=\lambda\)
分散
\(V[X]=\lambda\)
幾何分布
何を見る?
初めて成功するまでの試行回数
確率変数
\(X=1,2,3,\ldots\)
パラメータ
\(p\)
表記
\(X\sim\mathrm{Geom}(p)\)
期待値
\(E[X]=\frac1p\)
分散
\(V[X]=\frac{1-p}{p^2}\)
ポアソン分布の確率関数
\[ P(X=x) = \frac{e^{-\lambda}\lambda^x}{x!} \]
幾何分布の確率関数
\[ P(X=x) = (1-p)^{x-1}p \]
発生した回数を数える
→ ポアソン分布

初成功までの回数を数える
→ 幾何分布
最後に
離散型確率分布では、 まず「何を確率変数 \(X\) としているのか」を見分ける
NEXT STEP

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