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付表の見方
4種類の付表の構造を区別し、自由度や上側確率から必要な確率・パーセント点を正しく読み取れるようになる。
付表は4種類ある
区間推定や仮説検定では、 確率分布の確率や 境界となる値を調べるために、 付表を使います。
この講座で使う付表は、 次の4種類です。
ただし、 4つの表はすべて同じ読み方ではありません。
表の中に確率が入っている
表の中に横軸の境界値が入っている
標準正規分布表は「Zから確率を探す」
まずは、 標準正規分布表です。
この付表では、 横軸の値 \(u\) に対応する 上側確率を調べます。
表の左側では \(u\) の小数第1位まで、 表の上側では 小数第2位を探します。
| \(u\) | .00 | .01 | .02 |
|---|---|---|---|
| 0.0 | 0.5000 | 0.4960 | 0.4920 |
| 0.1 | 0.4602 | 0.4562 | 0.4522 |
実際の付表でも、 \(u=0.01\) に対する上側確率は \(0.4960\) です。
標準正規分布では左右対称を利用する
標準正規分布は 0を中心に左右対称 です。
そのため、 付表には基本的に正の \(u\) だけが掲載されています。
たとえば、 \(u=-0.01\) よりも下側の確率を知りたい場合には、 絶対値をとった \(u=0.01\) の上側確率を見ればよいことになります。
区間推定で頻繁に使う \(u=1.96\) については、 左側の1.9と上側の.06をクロスすると、 上側確率 \(0.0250\) と読めます。
負の側は、絶対値をとった正の側から読み替えられる。
t分布表は「自由度と \(\alpha\) から t を探す」
次は、 t分布表です。
標準正規分布表との大きな違いは、 表の中に確率ではなく t の値が入っている ことです。
| \(\nu\) | \(\alpha=0.100\) | \(\alpha=0.050\) | \(\alpha=0.025\) |
|---|---|---|---|
| 10 | 1.372 | 1.812 | 2.228 |
| 20 | 1.325 | 1.725 | 2.086 |
たとえば、 自由度20のt分布について、 上側確率5%となる境界を知りたい場合には、
カイ二乗分布表も「自由度と \(\alpha\) から探す」
カイ二乗分布表の基本的な読み方は、 t分布表とよく似ています。
| \(\nu\) | 0.99 | 0.95 | 0.05 | 0.01 |
|---|---|---|---|---|
| 20 | 8.26 | 10.85 | 31.41 | 37.57 |
たとえば自由度20のカイ二乗分布で、 上側確率5%点を探すと、
なぜカイ二乗表には 0.99 がある?
カイ二乗分布表を見ると、 表頭に \(0.99\)、\(0.975\)、\(0.95\) といった大きな上側確率も並んでいます。
これは、 カイ二乗分布が 左右対称ではない からです。
「上側99%点」ということは、 その値より右側に99%の確率が残る点です。
逆から見れば、 その値より左側には1%しかない ということになります。
ここで重要なのは、 「上側99%点」という表現が、 右側に99%の確率が残る境界 を意味していることです。
したがって、 同じ境界を左側から見れば、 下側に1%だけ確率が残る点 と考えることができます。
正規分布やt分布なら左右対称なので、 片側の境界がわかれば、 もう片側は符号を変えることで求められます。
しかしカイ二乗分布は左右非対称なので、 左側の境界も別に調べる必要があります。
そのため、 カイ二乗分布表には \(0.99\)、\(0.975\)、\(0.95\) といった大きな上側確率も用意されています。
非対称なカイ二乗分布では、 下側の境界を調べるためにも大きな上側確率が必要。
F分布は自由度が2つある
最後は、 F分布表です。
F分布で最も注意したいのは、 自由度が2つある ことです。
また、 今回のF分布表は、 上側確率 \(\alpha=0.05\) と \(\alpha=0.025\) が別々に用意されています。
たとえば、 分子の自由度が5、 分母の自由度が20、 上側確率が5%なら、
\(F(\nu_1,\nu_2)\) は、 最初が分子、 後が分母です。
F分布の左側の境界はどう求める?
F分布もカイ二乗分布と同じように、 左右対称ではありません。
そのため、 右側の境界がわかったからといって、 符号を変えるだけで左側の境界を求めることはできません。
しかも今回の付表には、 上側確率 \(0.05\) や \(0.025\) の表はありますが、 上側確率 \(0.95\) や \(0.975\) の表はありません。
この「左側5%の境界」は、 上側確率で表現すると 上側95%点です。
ところが、 付表には上側95%点が載っていません。
そこで使うのが、 F分布の逆数の性質です。
分子と分母の自由度が入れ替わる
ここがポイントです。
もとのF分布で とても小さい値を考えているとき、 その逆数は とても大きい値 になります。
→
つまり、 もとのF分布の左側5%問題を、 逆数を使って別のF分布の右側5%問題に変換できる ということです。
左側5%の境界を知りたい
右側5%の境界 を付表から読む
これを式で表すと、
です。
左辺の \(F_{0.95}(\nu_1,\nu_2)\) は、 もとのF分布の上側95%点、 つまり左側に5%だけ残る境界です。
右辺では、 自由度の順番を \(\nu_1,\nu_2\) から \(\nu_2,\nu_1\) に入れ替え、 付表にある 上側5%点 を読み、 最後に逆数をとっています。
左側2.5%の境界を知りたい場合は、 自由度を入れ替えた 上側2.5%点 を使います。 \[ F_{0.975}(\nu_1,\nu_2) = \frac{1}{F_{0.025}(\nu_2,\nu_1)} \]
「逆数にする → 自由度を入れ替える → 右側の付表を使う」。
最後にもう一度逆数をとれば、もとの境界に戻る。
4つの付表を見分ける
最後に、 4種類の付表の違いを 一気に整理しておきましょう。
出力:上側確率
出力:tの境界値
出力:χ²の境界値
出力:Fの境界値
付表の見方を整理する
数値を探し始める前に、 「何分布か」「自由度はいくつか」「上側確率はいくつか」 を先に余白へ書き出しておくと、読み間違いを減らせます。
とくに標準正規分布表だけは、 表の中が「確率」であることに注意する。
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